755nmフラクショナルモード付きQスイッチアレキサンドライトレーザー

アレフラ

日本でQスイッチアレキサンドライトレーザーが買えなくなった日

かつて、日本国内では、キャンデラ社のALEXシリーズ(ALEX-1、ALEX-2)や、サイノシュア社のAccoladeといったQスイッチアレキサンドライトレーザーが広く使用されていました。これらの機器は、長年にわたり日本の皮膚科・形成外科領域において、特に後天性真皮メラノサイトーシス(ADM)や太田母斑、外傷性色素沈着など、難治性色素疾患の治療において欠かせない存在であり続けました。

しかし、それらの名機たちも時代の波には逆らえず、多くは2020年頃までに製造終了が決定し、さらには2023年までには保守・修理サービスまでもが打ち切られるという状況に至りました。つまり、仮に機器が故障してしまった場合、もはや正規の手段で修理する術がなくなるという、大きな転換点を迎えたのです。

この出来事は、我々皮膚科医・形成外科医、特に色素病変の診療を専門とする者にとって、大きな衝撃であり損失でもありました。全国の有志の医師たちは、学会を通じて厚生労働省にも要望書を提出し、継続供給の必要性を訴えました。しかし、残念ながら状況は好転することなく、今なお製造が再開される見込みはありません。

背景には、医療機器メーカーの買収・統合という構造的な変化があります。かつて医療の現場に根差した製品開発を行っていたこれらの企業は、今や利益追求を至上とするファンドの傘下に入り、「医療的に必要とされるレーザー」よりも「利益率の高い、マーケティングしやすいレーザー」だけが製造・販売されるという構図が出来上がってしまいました。Qスイッチアレキサンドライトレーザーのように、高度な専門性と限られたマーケットに支えられた製品は、収益性の観点から切り捨てられたのです。

このような中、日本国内での代替機種の調達は困難を極めました。我々は焦り、藁にもすがる思いで国内外の関係者に連絡を取り、日本での生産委託の可能性を探るとともに、世界中でQスイッチアレキサンドライトレーザーを独自に開発・製造しているメーカーを調査しました。

その結果、ようやくたどり着いたのが、韓国の医療機器メーカーが開発したALEX-Qという機種でした。2024年秋より本機の導入を開始し、現在に至るまで、症例を積み重ねながら治療経験を深めてきています。

現在、当院では、ALEX-Qと従来のALEX-2を併用しながら治療を行っており、それぞれの特性を活かしつつ運用しています。使用感や照射特性において細かな違いはあるものの、共通して実感するのはやはり755nmという波長が持つ治療的優位性です。この波長は、メラニンへの選択的吸収性が非常に高く、エネルギーを過不足なくターゲットに届けることが可能であり、過去から現在に至るまで、色素性疾患治療における「王道」と言える存在です。

これから先、ALEXシリーズが復活する可能性は残念ながらほとんどありません。しかし、私たちは新たにALEX-Qというレーザー機を得ることが出来ました。必要な治療を必要とする患者さんに届けるべく、技術と経験を持って次の時代に適応し、代替技術を積極的に評価・活用していく覚悟を持っています。

日本人の肌に最適な波長──755nm Qスイッチアレキサンドライトレーザーの重要性

Qスイッチアレキサンドライトレーザー(755nm)は、その卓越した治療効果により、長年にわたり日本をはじめとするアジアの北方地域、すなわち日本・韓国・中国において、色素性疾患治療のスタンダードとして活用されてきました。実際、キャンデラ社製のALEXシリーズは、これらの地域で特に高い販売実績を誇っており、これはすなわち北アジア型のスキンタイプ(主にFitzpatrick Skin Type III~IV)において、755nmの波長が極めて有用であるという臨床的裏付けにもなっています。

日本で色素性病変の治療に用いられる代表的なQスイッチレーザーには、以下のような波長の機器があります。

・ Qスイッチルビーレーザー:694nm

・ Qスイッチアレキサンドライトレーザー:755nm

・ QスイッチYAGレーザー(KTP含む):532nm/1064nm

また、Qスイッチレーザーではありませんが、医療用レーザー脱毛で主に用いられる波長も以下の通りです。

・ アレキサンドライトレーザー:755nm

・ ダイオードレーザー:808nm

・ ロングパルスYAGレーザー:1064nm

これらの波長のラインナップから見ても、755nmという波長は色素疾患治療と脱毛治療の双方において中心的な存在であり、非常にバランスの取れた波長であることが分かります。

なかでも755nmは、メラニンに対する選択的吸収率が高く、かつ皮膚深達性も適度であり、表在性色素斑からやや深在性の病変まで幅広く対応できるという特長を持ちます。加えて、日本人の肌質においては、694nm(ルビー)では表在層への影響が強く色素脱失のリスクが高く、1064nm(YAG)ではエネルギーの深達が優れる一方で、メラニン選択性がやや劣ることから、755nmは「中間的かつ最適解」として、多くの臨床現場で重宝されてきました。

しかし現状、市場で容易に入手可能なQスイッチレーザーの多くはYAGベース(1064nm/KTP532nm)となっており、その理由は以下の通りです。

KTP結晶を用いて1064nmから532nmへの波長変換が可能であること(汎用性)

技術的・経済的にYAGレーザーの製造が比較的容易であること

これに対して、755nmのQスイッチアレキサンドライトレーザーは、製造難度が高く、コストもかさむという理由から、対応できるメーカーが限られ、結果として供給が非常に不安定な状況にあります。事実、世界的に見てもこの波長に特化したQスイッチレーザーを継続的に製造・供給しているメーカーは非常に少数です。

我々が755nmにこだわるのは、単なる慣れや過去の実績だけではありません。肌質・疾患特性・臨床効果・副作用リスクのバランスといった、実践的な治療成績の積み重ねから得られた知見に基づいています。

そのため当院では、現在も使用中のALEX-2に加え、韓国メーカー製のQスイッチアレキサンドライトレーザー「ALEX-Q」を導入し、755nm波長を用いた治療を継続的に提供できる体制を維持しています。それぞれの機種には微細な特性の違いがありますが、共通して言えるのは、「日本人の肌に最適な結果を出せる信頼性の高い波長」であるという点です。

我々が今、現場で積極的に755nm Qスイッチアレキサンドライトレーザーを使い続けるのは、単なる過去への執着ではなく、これからの皮膚科・形成外科医療における選択肢を守るための行動でもあります。この波長の重要性と臨床的有用性を再認識し、継続的な需要と評価が市場に示されることで、将来にわたりこの技術が失われることなく、次世代の医師たちにも受け継がれていくことを切に願っております。

ALEX-Qの特長

ピコ秒ではない「ナノ秒レーザー」の再評価

ピコ秒レーザーが登場してから、すでに10年以上が経過しました。当初は「画期的な技術」として華々しく市場に登場し、Qスイッチレーザーの多くがピコ秒タイプへと置き換わっていきました。医療機器展示会や学会発表でも、ピコレーザーの優位性を強調する声が相次ぎ、一時は「ピコこそが最新・最良」といった風潮が形成されたのも事実です。

しかし、ここ数年でその潮目が確実に変わりつつあります。ピコレーザーがナノ秒レーザーよりも明確に優れているというエビデンスが乏しいこと、特に日本人を含むアジア人のスキンタイプにおいて、むしろナノ秒レーザーの方が良好な臨床結果を示すケースも少なくないことが徐々に認識されはじめています。

とりわけ、ADM(後天性真皮メラノサイトーシス)や太田母斑、外傷性色素沈着、さらには日光性色素斑といった症例では、ナノ秒レーザーの方が明確な色素破壊と肉眼的変化を得やすいという実感があります。こうした背景から、近年ではピコレーザーを礼賛するような発表もやや減少傾向にあり、代わって「ピコレーザーでどうやってナノレーザーに匹敵する効果を出すか」という、逆説的な議論が出始めているほどです。

もちろん、入れ墨(刺青)除去におけるピコレーザーの優位性は否定できません。非常に微細な色素粒子に対してピコ秒照射が持つフォトアコースティック効果は確かに理にかなっており、特定の色や密度においては、明らかな差を感じることもあります。しかし一方で、「ピコでなければ除去できないタトゥー」がどれほどあるのかと問われると、実臨床の中ではそこまで多くはなく、ナノ秒レーザーでも十分に対処可能な症例が大多数を占めているというのが、私自身の感覚です。

さらに言えば、日本国内で刺青除去を主たる診療領域としている医療機関がどれほどあるでしょうか。多くのクリニックでは、タトゥー治療はむしろ副次的なものであり、それよりも頻度が高く、効果の即時性が求められる色素性疾患の治療において、ナノ秒レーザーの有用性はなお健在であるといえます。

私自身、これまでにピコ秒YAGレーザーやピコ秒アレキサンドライトレーザーの使用経験はあります。しかし、照射時の肌の反応や手応え、治療後の反応性、患者のダウンタイムなどを総合的に判断すると、「あれ?これは本当に良いのだろうか?」という違和感が残ったのも事実です。その結果として、私はあえてピコレーザーを購入せず、臨床的に十分に結果を出せているナノ秒Qスイッチレーザーを今も主軸として使用しています

誤解なきよう申し添えますが、私は決してピコレーザーを全否定する立場ではありません。ピコレーザーにはピコレーザーの長所があり、適応を見極め、機種特性を活かした運用をすれば、確かに優れた結果が得られるケースもあるでしょう。しかし、医療機器とは「流行」や「最新」だけで選ぶものではなく、あくまで”効果”と”患者利益”に立脚して選択されるべきと、私は考えています。

今後も、「ピコかナノか」という二元論ではなく、それぞれの波長・パルス幅・照射方式が持つ物理的特性と、実臨床での有効性を冷静に見極めることが、我々レーザー治療に携わる医師の責務であると考えています。

フラクショナルモードを搭載した755nmナノ秒レーザーという優位性

──ALEX-Qの臨床的価値とは

ALEX-Qは、従来型のQスイッチアレキサンドライトレーザーと同様、755nmのナノ秒パルスを照射するクラシックな設計を踏襲しながらも、最新の臨床ニーズに応える高度な機能性を備えた機器です。その中でも特筆すべきは、フラクショナルモードが搭載されている点です。

ナノ秒レーザーにおける照射は、一般的に強い光音響効果によってメラニン色素を瞬時に破砕することができますが、その一方で、健常組織への熱的・物理的ダメージが問題となることも少なくありません。特に日本人を含むアジア人のスキンタイプでは、過剰な反応性による色素脱失や炎症後色素沈着(PIH)が懸念される場面もあります。

このような中で、ALEX-Qが搭載するフラクショナルモードは、レーザー照射エネルギーを点状に分散させ、皮膚への熱ダメージを局在化・最小化することが可能です。その結果、従来のスポット照射に比べてマイルドな治療反応を得ることができ、術後のリスクやダウンタイムを大幅に低減することができます。

加えて、ナノ秒755nmレーザーという波長自体が持つ特性──メラニンへの高い選択吸収性と、適度な深達性──は、太田母斑やADM、外傷性色素沈着、さらには浅在性の老人性色素斑に至るまで、幅広い色素性病変に対して安定した効果を発揮します。

そこにフラクショナルモードが加わることで、「マイルドだが確実」な色素治療が実現し、これまでQスイッチレーザーでダウンタイムや炎症の強さがネックとなっていた患者層に対しても、より安心して提供できる治療選択肢となります。

さらに、Qスイッチアレキサンドライトレーザーにフラクショナル照射機能が搭載されているという仕様自体が、非常に稀有であり、現時点ではほとんどのQスイッチ機器がスポット照射のみに限定されている中、ALEX-Qのこの仕様は、市場における希少価値と臨床的優位性を同時に備えた存在と言えます。

我々、色素性疾患の診療に日々取り組む現場の医師にとって、ALEX-Qのような高出力かつマイルドな照射が両立できる機器の存在は極めて意義深いものです。単なる「Qスイッチレーザーの代替」ではなく、より安全で効果的な治療を目指す新しい選択肢として、今後の色素治療のあり方を変えていくポテンシャルを秘めています。

料金表(税込み)1回あたり

施術名 価格 備考
アレフラトーニング全顔 13,200円 肝斑にも使えるトーニング施術
アレフラトーニング半顔 11,000円 目から下。肝斑にも使用可
アレフラ全顔 16,500円 やや強め。シミ・くすみに
アレフラ半顔 14,300円 目から下、やや強め。シミ・くすみに
アレフラスポット・顔・打ち放題 16,500円 かなり強め。はっきりとしたシミのポイント治療
アレフラ+アレフラスポット、全顔 29,800円 全体的に反応させるシミ治療・色素沈着予防化粧品付き

フラクショナルモードでダウンタイムを抑えます。

日本人にの肌に合った755nmのナノ秒レーザーです。
メラニンに対する光音響効果+光熱破壊効果の絶妙なバランス

冷却ガスの同時照射で、痛みと火傷のリスクを抑えます。

1
  

施術前に、洗顔をしていただきます。

・日焼け止めやファンデーションに反応すると効果が減弱します。

・施術後、お化粧は可能ですので化粧道具をご持参ください。



2
  

ベッドで、まず髪の毛をタオルでくるみます。

・髪の毛に反応するため、髪の毛は邪魔にならないように避けます。

・髪型が崩れると困る場合は、施術を受けることはできません。



3
  

ALEX-Qで施術を行っていきます。

・パチパチと反応する痛みがあります。ポイント照射では輪ゴムではじかれるような痛みがあります。

・施術メニューにもよりますが、全体的に800~3000ショット、照射していきます。



4
  

施術後は赤みやカサブタが出ますが、徐々に治まってきます。

・直後は赤みがあります。抗炎症ローションを塗布し、徐々に治まってきます。

・カサブタは1-2週間、ゴマ粒のように付着する場合があります。

施術を受けるには、、、

まず、Web問診をしていただき、予約を完了して頂く必要があります。施術を受けるかどうか迷われている場合、ご自分の肌に合っているか確認したい場合は、カウンセリングだけでご来院いただく事も可能です。

ALEX-Qフラクショナルは評判の治療ではありますが、ある程度のダウンタイムがございます。不安がある場合は、まずはカウンセリングをお受けください。他の治療メニューの提案や、ダウンタイムのない他の治療を提案させていただくことも可能です。

使用する医療機器・医薬品について

◎入手経路等
当院医師の判断の元、個人輸入しています。
◎未承認医薬品等
ALEX-Qは医薬品医療機器等法上、未承認医療機器です。
◎国内の承認医薬品等の有無
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。